平成24年秋、京都、奈良への旅のしおり 11月16日 京都大原三千院へ 京都駅から通常の路線バスに乗車します。毎時15分、35分、55分に発車しています。大原までの所要時間は丁度1時間。京都の中心烏丸通を北へ、四條烏丸交差点を右折、京都の最高の繁華街である四條通りを東へ、四條大橋を渡ると、淀川沿いを北上、出町柳からは高野川沿いを走り、八瀬へ、エクシブ京都を右手に見て走り、大原の里に着きます。 京の雑踏から、一直線で、現実に存在する理想的原風景の地へ。敢えて、路線バスを選んでみました。 梅原猛氏「京都発見 3 洛北の夢 大原と惟喬親王」の始めに「京都の人は、『八瀬大原』と言って、八瀬と大原をセットにして考える。しかし八瀬と大原はずいぶん違う。地形的に見ても、大原にはかなり広い平地があり、そこにごく普通の日本の田園風景が見られる。洛中からそんなに離れていないが、風景はまるで田舎の風景である。ちょっと桃源郷の観がある。この、都の近く在りながら都と違った大原は、『大原女(おはらめ)』という独特な風俗をして頭に墨木を載せた女性の姿によって有名であるが、京の人はこのような女性に或る種の異邦の女性の魅力を感じていたのであろうか。・・・」 三千院 「往生極楽院と三千院」 「三千院のことを考えるときに、私は哲学者・西田幾太郎の「絶対矛盾の自己同一」と言う言葉を思い出す。これは西田が悪戦苦闘の思弁の果てに考え出した哲学概念であるが、現実と言うものは全く矛盾した二つのものが結びついているという意味である。ここでこの言葉を思い出すのは、三千院の中にある小さな庵室のような往生極楽院と、石垣で囲まれた巨大な門構えとが、全く矛盾しているように思われるからである。隠者が住むならば、巨大な門構えが必要でなく、巨大な門構えのある寺ならば、小さな庵室は不似合いである。 大原三千院には二つのものが同居している。一つはもちろん往生極楽院である。・・・この御堂全体には美しく哀しい音楽が流れている。そして、この御堂の天井は舟形になっている。恵心僧都はしばしば舟に乗って極楽浄土に行く弥陀三尊の絵を描いている。この堂全体が一つの舟となって極楽浄土に旅する様を表しているのであろうか。・・・叡山は彩雲法親王を天台座主に任じ、大原にこの隠者たちを取り締まる政所を置いた。時は保元元年(1156)、まだ真如房尼が極楽院に在住中であった。・・・この政所が極楽院の近くに設置されたことで、極楽院の運命は左右される。やがて梶井門跡の政所の中に極楽院は取り入れられてしまうのである。・・・」 大原の里には、「来迎院」、「勝林院」(大原問答で有名)ともに天台宗延暦寺の別院、そして建礼門院徳子の「寂光院」があります。「寂光院」へは片道20分ほどの道のりです。 17時丁度発の京都駅行きバスに乗車し、出町柳へ、そして、「草喰 なかひがし」へ。 11月17日 奈良、西ノ京、「薬師寺」、「唐招提寺」へ 近鉄線で、奈良へ向います。9時10分発の橿原神宮行きの急行では9時57分に西ノ京駅に、9時23分発の天理行きでは10時09分に西ノ京駅に着きます。 「薬師寺」 入江泰吉氏の「私の大和路 秋冬紀行 私の薬師寺」の一節です。「今年(1980年)の夏は、例年にない異常現象に見舞われ、クーラーの厄介になったのは、2,3日にすぎなかった。・・・西ノ京周辺から、再建西塔をはるかに仰いでみたかったので、東から南、そして北へまわり、最後に西の伝承勝間田池のほとりにまわってみた。 金色燦然と輝く九輪。朱、青丹の木組、純白の壁と、色鮮やかに化粧された見事な塔姿が、春日山と紺碧の空をバックに、くっきりと浮上し、池の水面に塔影を映していた。想像をはるかに超えたその優美な光景に、私はしばし見惚れていた。薬師寺創建のみぎり、竜宮城を構想されたともいわれるが、ここ、勝間田池のほとりから眺める光景は、まさに、それを彷彿とさせた。・・・ いま、その西塔は再建から30年経ち、入江泰吉氏の観、撮った塔はやはり若干の年月を感じさせられる姿となっています。さらに、こんどは東塔が解体修理のためシートに囲まれ、姿を見せていません。その代わり、金堂、中門、回廊、大講堂が復興されています。 金堂「薬師三尊像」(国宝・白鳳時代)、東院堂「聖観音菩薩像」(国宝・白鳳時代)(7世紀後半、天武・持統天皇時代)は繰り返し拝観をしてみたい。金堂では法話が行われています。必ず、お写経勧進を勧められます。 続いて、玄奘三蔵院伽藍・大唐西域壁画殿をお詣りし、平山郁夫画伯の渾身の力作を鑑賞します。 10分ほど歩き、「唐招提寺」へ。 「唐招提寺」 「薬師寺」から「唐招提寺」へは、同じお寺詣りとは思えない雰囲気の変化を感じます。 南大門を入り、金堂を正面にして歩く時、身内を引き締める何かを感じます。鑑真和上の苦難を何回か聞かされてきているからでしょうか。 「金堂」でご本尊「盧舎那仏坐像」、「講堂」でご本尊「彌勒如来坐像」を拝み、「新宝蔵」、「鑑真和上御廟」、「御影堂」、「戒壇」を拝見します。 13時、唐招提寺前の駐車場からタクシーで奈良市内へ向います。三条通りを東へ。JR 以上 |