6つのキーワードで読み解く 西洋絵画の謎 千足伸行氏 |
昨年、8月「オルセー美術館展」を観賞した折、購入した上記の本を読み終えることが出来ました。西洋絵画についていろいろと興味深い、なるほと、という事柄を知ることが出来ました。整理をしていきたいとおもいます。また、その後は、「ゴッホ展」を観賞し、「「ゴッホが挑んだ『魂の描き方』−レンブラントを超えて尾崎彰宏氏」を読んだ後、また、整理したいと思っています。 西洋美術史年表 古代ギリシャ、ローマ (紀元前から西暦500年) 人間の身体の美しさを自然主義と理想主義をもって完璧に表現し、ヨーロッパ美術の原点となる。 初期キリスト教、ビザンティン (西暦500年から西暦1、000年) イコン(聖画像)、モザイクを中心にキリスト教美術の基礎を形成。 ロマネスク、ゴシック (西暦1,000年から西暦1,400年) 中世の2大様式で、建築中心だが、特にゴシックのステンドグラスは他に例を見ない光と色彩の芸術。 シモーネ・マルティーニ ルネサンス 15世紀(1,400年代) 北方ルネサンス ドイツ、ネーデルランドを中心に新しい市民文化が開花し、芸術も栄える。 ボス、 デューラー、ブリューゲル、クラナハ、アルトドルファー 初期ルネサンス キリスト教一色の中世から、古代ギリシャ、ローマの文化・芸術が復興する。 マザッチョ、サセッタ、フラ・アンジェリコ、ポッティチェルリ 16世紀(1.500年代) ヴェネツィア派 デッサン重視のフィレンツェ派に対し、色彩を重視し、現世主義的、楽天的な明るさをたたえた作品が多い。 ティントレット 盛期ルネサンス 「3大天才」をはじめ、巨匠が排出。抽象的な中世美術から脱皮して自然主義へと向かう。ローマ、フィレンツェが中心。 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ マニエリスム 調和、バランスのルネサンスに対し、宮廷的、貴族的な洗練、優美の芸術。 エル・グレコ、ブロンジーノ、パルミジャニーノ 17世紀(1,600年代) バロック ヨーロッパの17世紀全体をカバーする様式で、発祥の地はローマ、ダイナミックで劇的な明暗表現、絢爛たる装飾性と同時に禁欲的傾向も目立 つが、その根本にあるのは対照に密着した徹底した自然主義。シンボルカラーは金。 カラヴァッジョ、ポッツォ、ルーベンス、レンブラント、クロード・ロラン、ベラスケス、、フェルメール、プッサン、ハルス 18世紀(1,700年代) ロココ 18世紀のルイ15世時代のフランスを中心に広がった様式で、バロックを土台に現世主義的、享楽主義的かつ過剰なまでの装飾趣味が目立つ。シ ンボルカラーはバラ色。 フラゴナール、カナレット 18世紀・19世紀(1,800年代) 新古典主義 ポンペイその他の古代遺跡の発掘、ロココへの反動から、古代芸術に回帰。古代美術の故郷ローマに各国の芸術家が集合。シンボルカラー は白。 ダヴィド、アングル ロマン主義 古代の型にとらわれ主体性のない新古典主義に対し、個人の自由、個性感情などを重視。劇的、文学的主題に加え風景画にも新次元を開い た。 写実主義 見た通りの自然や身近な現実を美化。理想化することなく描いた。1848年の2月革命により社会の民主化が進んだことも追い風となった。 コロー、クールベ、ミレー、トロワイヨン、メンツェル 印象派 戸外制作を原則とし、自然光下の明るい自然を描いたので、「外光派」とも呼ばれた。対象の忠実な描写、説明より自分がそこから受けた「印象 」を描くことに専念。 マネ、モネ、ルノワール、ドガ、ホイスラー 象徴主義 科学万能・功利的な時代風潮をよしとせず、人間の内的精神世界(思考・夢・幻想)の視覚化を目指す。 モロー、ベックリン、ムンク、ド・ニュン ク、クリムト ポスト印象派、新印象派 印象派から出発しながら次第に構図、色彩、技法(点描法)などでそれぞれ独自の様式を確立。 セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン 、スーラ 20世紀(1,900年代) フォーヴィスム、キュビスム ともに20世紀初頭の前衛運動で、前者は原色系の鮮烈な色彩を、後者は形態に対する革命的な視点をうち立てた。 マティ、ピカソ、デュフィ 以下略 |
レッスンT 色彩 絵には墨絵やデッサンなど、色のないものもありますが、「墨に五彩あり」ともいうように黒も色であることに変わりありません。使われる色の種類、数も時代により、あるいは画家により大きな違いがあるのは当然です。・・・・・ ・・・「海の彼方から」を意味するウルトラマリンという美しい青がそれで、量が限られて、高価なこともあり、使われる対象は聖母マリアや一部の成人の衣などに限られていました。 色彩が絵画の要素として重要なのは当たり前のことです。この項の説明として、沢山の絵画が提示されています。以下はその一部です。 【デルフトの眺め】 ヤン・フェルメール(1632・75) 1660年・61年頃 ブルーストが「世界で最も美しい絵」と絶賛 朝の柔らかい光の中に浮かびあがる家並み、運河を開閉する門などの色彩で目につくのは青、赤、黄、それに壁やレンガに用いられた灰色と褐色の中間色です。これらは画面の半分以上を占める曇り空の鈍い光のもとですばらしい調和とバランスを見せています。 パリにでる前にこの絵をハーグの美術品で見たゴッホは、その色彩に深い感銘を受け、「こららすべての強い色調が今でも見事に保たれているのは驚くべきものだ」と手紙に書いていますが空の光と建物のシルエットを映した水面にも注意してください。・・・ 【ひまわり】 ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(1853・90) 1888年 感情と結びついた強烈な色彩とタッチ ・・・北アメリカ原産のヒマワリが南米ペルーとロシアの国花であることはあまり知られていまいようです。しかしゴッホにとってヒマワリはアルルの、あるいは南仏の「国花」のようなものです。・・・ 【叫び】 エドヴァルト・ムンク(1863・1944) 1893年 どこから来るとも知れない人間の不安 ムンクが30歳の時の【叫び】は彼の代名詞ともなったいる作品です。この頃のムンクはこれまた有名な【思春期】【不安】【絶望】など、暗い世紀末の雰囲気をsのまま映し出したかのような傑作を次々に描いています。・・・ レッスンU デッサンと形 【泉】 【オダリスク】 【トルコ風呂】などで知られるフランス新古典主義の画家であるアングルにいわせると、絵で大切なものはデッサン(素描・線描)で、色彩は二次的なもの、いわばデッサンの「付き人」であり、あくまでも脇役でした。 彼によると「デッサン」は単にものの輪郭を再現することではない。デッサンは線だけで成っているものではない。デッサンはまた表現であり、内部にひそむ形であり、ものの面であり、肉付け(立体表現)でもある。・・・ ・・・印象派でいえば、たとえばモネ、ルノアール、ピサロ、女流のベルト・モリゾは色彩派、ドガ、ロートレック、アメリカ人のメアリ・カサットはデッサン派といえるでしょう。・・・ 【泉】 ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(1780−1867) 【笛吹の少年】 エドゥアール・マネ(1832−83) 1866年 やがて美術史に残る伝説となった少年 【バレーの稽古】 エドガー・ドガ(1834−1917) 1874年 全身カメラのレンズとなって迫った踊り子たち レッスンV 遠近法 絵画における正確な遠近表現が問題となり始めるのはルネッサンス時代からです。心の内側や死後の世界、「来世」ばかりを見てきた中世に対し、ルネッサンスの人々はこの世の自然の美しさに目覚め、現世に生きる喜びを発見しました。その自然をあるがままに描きたい、再現したいと思いはが強くなったのも当然といえるでしょう。 |
作者近況の欄です9。 |